第6回 ライフアップ・通信 11月号


<ライフアップ通信より抜粋>

 

「 『遺族年金』は『相続』のひとつ!?」 について   

 

 家族の方が亡くなられたときに、遺族にとって必要な手続きのひとつが「相続」です。その他にも、遺族に対して国が支給する「遺族年金」の手続きも必要になります。遺族年金も亡くなられた方の「資産」であり「相続」であると考えがちです。亡くなられた方の名義の土地・建物や分譲マンション、貯蓄など遺族が相続されるものがあれば、民法の規定に基づいて、遺言や法定割合によって遺族に相続されることになります。

 遺族年金も相続と同じく一定の遺族に対して支給されるものですが、国民年金法や厚生年金保険法により規定されているため、一般的にいわれる「相続」ではなく、区別されているのです。国民年金や厚生年金保険制度に加入していた方や老齢年金や障害年金を受給していた方が亡くなられたとき、配偶者や子ども、父母、孫、祖父母など、一定の条件を満たした遺族に対して「遺族年金」が支給されます。遺族の誰が遺族年金を受給するにしても、亡くなられた人と受給する方が生計を維持されていなければならないということが、民法でいう「相続」と違うということです。

 たとえば、58歳のA男さんには10年以上前から別居している55歳の妻・B子さんと33歳の娘・C子さんがおり、B子さんが弁護士に依頼して離婚協議中とします。A男さんとB子さんは別居後連絡を取り合うことはなく、生活費などの送金もなく、A男さんとC子さんが年に数回会う程度だとします。A男さんには、別居直後から同居を始めた50歳のD子さんという女性がいます。ここで、A男さんが病気のため亡くなられた場合を考えてみましょう。A男さん名義の定期預金や、B子さんとC子さんが住んでいる分譲マンションがA男さんの名義であった場合、A男さんとB子さんは別居状態で離婚協議中であっても籍はそのままなので、配偶者としての立場が認められて遺言が残されていなければ民法の規定どおり法定相続となり、定期預金や分譲マンションなどの財産はB子さんが1/2、C子さんが1/2相続できることになります。しかし、遺族年金は国民年金法や厚生年金保険法が適用され、受給できる人は実態で見ることになり、戸籍上は妻であっても夫婦関係が破綻し、生計維持関係が認められなければB子さんは遺族年金を受給できません。B子さんと別居直後からA男さんと同居していたD子さんは10年以上生活をともにし、生計維持関係が認められた場合には、D子さんに遺族年金が支給される可能性もあります。相続については、D子さんは遺言等がない限り法定相続が優先されますから、A男さんの相続財産を受け取ることができません。

 同じ遺族が受けられる相続財産と遺族年金でも、法律が変わればこんなに違うということをご理解いただければ幸いです。

                                          以上