第3回 ライフアップ通信 5月号


-遺言書作成のすすめ-     

 

<ライフアップ通信より抜粋>

 

  最近では、人生の最期を自分らしいもの、納得のいくものとするために生前からいろいろな準備をする人が増えてきました。その“終活”の中でも遺言書の作成は、特に相続問題のトラブル回避に大きな役割を果たすものであると言えます。本人の意思を尊重するという観点からも原則として遺言書があれば、相続に関する一連の手続きの中で最も煩わしく、問題の種となりやすい相続人間の遺産分割協議を行う必要がありません。法定相続では共有となって売ることも貸すことも単独ではできなくなってしまう相続不動産をスマートに分割することも可能です。

 

 遺言書を残せばかえって家族間で揉め事が起きると考える人もいますが、誰が亡くなっても必ず相続は発生しますし、誰かが必ず相続の手続きをする必要があります。また、相続財産の多い少ないにかかわらず、行うべき手続きは量的な違いこそあれ、ほとんど同じであるということを忘れてはなりません。誰でも例外なく死が訪れることを考えれば、残された家族の負担を少しでも軽減して無用の争いを避けるための準備は家族に対する最低限の思いやりと言えるでしょう。ご自分の築いた財産が望むとおり受け継がれるためにも、準備は万端に整え

て、あとはポジティブに憂いなく残りの人生を過ごしたいものです。

 

 遺言は人の最終の自由意思を実現させるためのものですから、基本的には何を書いてもよいのですが、法的効力が認められる事項は財産の処分に関することや相続人の相続分の指定、遺産分割方法の指定、遺言執行者の指定等に限られており、これが「法律上の遺言」となります。また、方式によっていくつかの書き方がありますが、一般的には、自筆証書遺言か公正証書遺言の選択となります。いつでも自由に、制約なく作成できるのが自筆証書遺言で、文字どおり紙と筆記用具があれば、あとはご自分で書いて押印するだけでよく、費用もかかりませんが、作成してあることを家族に伝えていないと、保管場所によっては発見がむずかしいこと、作成方法に不備があると無効となってしまうこと、本人が書いたものか証明できないので裁判所の検認が必要であることなど、すぐに相続手続きをすることが出来ない難点があります。

 

 公正証書遺言は、自由意思で遺言したことを公証人に作成、保管してもらい公的に保証してもらう方法であるので、手間と費用がかかり、気軽にできるものではないかわりに、検認が不要で他人からの強迫などによって本意でない遺言書を書かされる心配もなく、安全・確実なものと言えます。ご自分の取り巻く状況をよく考えてどちらの方法にするか決断する必要があります。

 

 こんな人は特に公正証書遺言の作成をご検討下さい。

①家族がなく親戚づきあいもほとんどない人 ②子供のいないご夫婦である

③子供たちの経済格差が激しい④同居している子供と別に暮らしている子供がいる

⑤籍を入れていないパートナーがいる ⑥再婚前に設けた子供がいる

⑦不動産や株式など分割しにくいものが財産の過半を占める ⑧事業承継の問題を抱えている中小企業経営者の方 ⑨賃貸不動産を所有している方

⑩死後、財産を第三者に寄付したい、遺贈したい方

 

 次回以降不定期ではありますが、シリーズで遺言書の書き方や実際の内容など詳しくご案内してまいります。