第2回ライフアップ通信 3月号


<ライフアップ通信より抜粋>

 

家族信託のすすめ

 

財産の相続や分割を円滑に進めるため「家族信託」を活用することをお勧めします。“遺言より気が楽”な、そして“成年後見制度より気軽で汎用性の高い” 信託を活用した新しい財産相続法として今、注目されている方法です。

 

一般に「信託」は、財産の運用、管理を信頼できる人や専門の機関(信託銀行等)に任せる仕組みです。従来の法律では専門の機関に任せる商事信託のみが認められておりましたが、「家族信託」の場合は財産の管理を任せる人(信用できる人)を家族で決めて、財産の承継に活用する方法です。

1920年以来 80年ぶりの信託法の改正となった20079月施行の新信託法(個人信託)は、遺言や成年後見など他の制度にない特徴やメリットがあります。

 

信託の場合3つの役割を果たす人が必要となります。まず、財産を託す人「委託者」、次に財産を託される人「受託者」、そして信託された財産(信託財産)の運用・管理で利益を得る「受益者」です。このうち、委託者と受益者は同じ人がなることができます。

 

例えば父親である甲が自己所有の自宅を子である乙に信託し、所有権の移転を伴って、子(乙)が父親(甲)の自宅を管理します。甲は自宅に住み続けますが、老後の甲の生活を前提に、資金不足が懸念される場合には、子である乙は資金捻出のために甲の自宅を処分する等の行為を行うことができます。また、自宅を処分する前に相続が発生した場合はそのまま子に自宅を相続される仕組みです。

 

この場合の家族信託のメリットは、委託者と受託者で契約の内容を自由に決定できることです。この際、信託財産の所有権は委託者から受託者に移りますが、信託財産にかかる経済的な価値は受益者のものとなります。したがって、上記の信託例(父親が委託者兼受益者、長男が受託者)の場合、相続税や贈与税は信託時にはかかってきません。

 

 

現在 我が国においては認知症の患者が高齢者に急増しています。認知症の問題はもちろんのこと、さらには知的障害、精神障害そして身体障害をご家族に持つご家庭では、どのように財産をしっかりと管理承継していくべきか緊急かつ重大な課題となっています。こういったことから、今後「家族信託」に対するニーズは爆発的に高まるものと思われます